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闇縄悪夢

Author:闇縄悪夢
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 はじめまして、闇縄★悪夢です。  DTIブログでSM小説を書いていましたが、ブログサービスをやめるらしいので、お引越ししてきました。  ちょっとスランプ気味なんですが、がんばって更新しますので、よろしくお願いします。
 
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51
あれ以来、裕美に会っていない。あれから、もう半年たつ。裕美のことって夢だったのかな・・・そう思うほど・・・もう、会社でも裕美のことを口にする子はいない・・・あの1日あとに辞表を出したらしい・・・・。そして、裕美は消えた・・・・。わたしは自分のマンションに戻った・・・以前のままのお部屋・・・・・テーブルの上には裕美にとりあげられたはずの通帳やカード、財布が置かれていた。通帳も以前のまま、引き出した形跡とかはない・・・むしろ、使っていないお給料の分だけ増えていた。
 裕美のマンションにも行ってみた。でも、もう引き払ったあと・・・・優華も一緒になのかな。真由美さんに聞いても知らないっていうし・・・・。もう、彼女に会うことはないのかな・・・・。
 わたしの方は大きな変化があった。そう、真由美さんのところでオークションにかけてもらったのだ。そして、宝生さんと言う人に落札していただいた。たぶん本名じゃないけどクラブではそう名乗っている人。真由美さんのオークションは奴隷にも選ぶ権利はある。交渉する順番を決めるだけのもの。1位の人から順番にわたしが決めるのだ。宝生さんはわたしに5000万という金額を提示した。でも、お金は関係ない・・・・わたしは彼の目・・・それに惹かれた。何かなつかしいようなそんなものを感じた・・・・。それから、彼に奴隷として仕えている。今、私の中には新しい命が芽吹いていた・・・。
 彼はバツ2で52歳。落ち着いた風格とロマンスグレイの髪・・・・。そして厳しくわたしを調教する。そして、調教のあとはわたしをやさしく抱きしめる。
「今度、娘に会ってくれないか。」
「えっ・・・でも・・・わたし・・・・」
「是非、君を娘にあわせたいんだ。」
 ベットの上で甘えるわたしを引き離して、真剣な顔でわたしの顔を覗き込む。
「いいよ。このままで、この子もわたしが育てるから・・・・」
 その子を裕美みたいにしたくない・・・。わたしは子供を一人で育てようと思っていた。
「とりあえず、会うだけでもいい・・・」
 強引な彼。わたしを抱きしめる。こうされると、わたしは・・はいっ・・って言うしかなくなるよ・・・・。
「じゃあ、今度の土曜日。いつものホテルで・・・」
「はい・・・・」
 一抹の不安はある。でも、彼のいうとおりにするしかない。わたしは彼に甘えるように全裸の身体を彼の胸にこすりつけた。

 いつも彼が利用する豪華なホテル。そのロビーで周りを見回す。まだ彼は来ていない。そして目の端に違和感。えっ!ソファーにふてくされたような顔をして座ってる子・・・・裕美・・・・。わたしはその方向を向く。裕美もこちらに気がついたみたい・・・わたしに微笑んで以前の裕美のように手を振る・・・・・。そして、わたしは裕美の方に近づく・・・話したいことがいっぱいあった。
 その時、ロビーに慌てて入ってくる彼・・・彼はわたしにすこし手を振って・・・裕美の方へ・・・えっ・・・・でもそこには裕美のほかに女の子はいない。裕美と何か話す彼・・・そしてわたしを指差す。裕美の驚いた顔・・・・それはすぐにほどけて・・・笑顔になる。わたしの方に歩いてくる2人。至近距離へ。黙っているわたしと裕美・・・。彼が照れたように口を開く。
「これは娘の裕美だ。そして、こちらは黒田佳奈子さん・・・・」
「知ってるよ。」
 裕美が蕩けるような笑顔になる。そして、わたしの腕につかまる。わたしも笑顔で裕美を見つめる。その2人を驚いたように見る彼。わたしと裕美はそんな彼の表情を見て、顔を見合わせて声を上げて笑いあった。本当の母娘のように・・・・。
 
50
 裕美の戦いの間、聡子さんは太った男を相手していた。聡子さんの長い足、手が男を捕らえる。男は防戦一方・・・やっぱ安心して見ていられる。さすがにあの裕美を手玉にとっただけある。威力のありそうなパンチと蹴り。でも、聡子さんの表情はだんだん険しくなってくる。
「だめっ。こいつぜんぜん効いてないよ。」
「ハハハ・・・きかないよぉだ。」
 男は聡子さんを挑発するように舌をだす。巨大な肉の塊。聡子さんの攻撃を全部吸収してしまうの?巨大な手が聡子さんの方に伸びる。聡子さんのTシャツをつかむ。そして引きちぎるように振り回す。Tシャツが破れて白い肌が露になる。そして背中の大きなタトゥが・・・大きな薔薇の花だ。
 聡子さんはすぐに体制を立て直す。半身に構えて、デブを見る。背中の薔薇が妖しく蠢くような感じ・・・まるで食虫植物のように・・・・。
「フフ・・・・かなりのマゾのようだね。胸にピアス・・・それに刺青・・・・気に入ったよ。俺がもっと調教してやるよ。」
 嬉しそうに笑う男。裕美が前に出ようとする。それを真由美さんが制する。だまってみてなさいって言うように。
「とりあえず、お腹が破裂するくらい浣腸して・・・・首を絞めたまま犯してやるよ。フフ・・・そういうの好きだろ。」
「ええ・・・そうね・・・でもあなたにされるのはいや。」
 聡子さんの回し蹴り・・・・男の左肩に決まる。鈍い音。そして、右肩・・・・。すばやい蹴りをなんども繰り出す。聡子さんの息が切れる。そして、男の笑いはだんだん大きくなる。まるで、おかしくてしかたないように笑い出す。だんだん聡子さんが自分に勝てないという確信みたいなのが増していくんだろう。聡子さんは猫にいたぶられる鼠だった。でもあきらめない、何度も何度も蹴る。肩、わき腹・・・・男の身体の横を何度も・・・たぶんいちばん弱い部分なんだろう。でも、そこをつつんだ肉の塊は聡子さんの攻撃をすべて吸収する。
「そろそろお遊びはおわりだよ~」
 男の手が伸びる。それを避けながら聡子さんは蹴りを放ち続ける。もう、無駄なあがき。しかし、真由美さんはじっと聡子さんを見守る。聡子さんの勝利を確信したように・・・2人の間の信頼関係を感じる・・・・。
 その真由美さんの信頼を裏切るように、聡子さんが大きな手につかまる。いちど持ちかえるようにして両手で首をつかむと締め上げるように宙に吊り上げる。完全に負けかもっ。わたしはこれから起きるであろう惨劇に目を伏せる。
「まるで、恐竜なみだねっ。」
 あきらめたように言う聡子さん。
「ハハハ・・・ここも恐竜なみだぜ。首を絞めながら犯してやるよ。気持ちいいぜ。キュって締まってさ・・・ハハハ・・・・」
「鈍いっていってんだよ!」
「何だと!」
「絞めてみなっ!」
「ああ!」
 男は手に力を入れる。でも、聡子さんは笑ったまま。男の顔が真剣になる。
「ほんと、恐竜なみ・・・もう骨が砕けてるのもわかんないの。」
 男の手を開くとストンと下に下りる。こんなはずじゃないって男の顔を見る。その格好のまま固まっている。そして、苦痛に歪んだ顔で肩を押さえる。
「痛いよ・・・痛いよ・・・・」
 その場でのたうちまわる男。その男を見下ろす聡子さん。腰に手を当てて・・・女王様みたいに。そして何も言わずに男を蹴り上げる。何度も何度も・・・。許しを乞う男。でも容赦ない蹴りが男に降り注いだ。

「この人たちは首ですね。小娘ひとり倒せないなんて・・・・」
 あきれたように牧島が継母を振り返る。
「でも、私一人で十分ですよ。」
 わたしたちを振り返る。いつの間にか手に日本刀が握られている。そして鞘から銀色に光るものが解き放たれる。だまって真由美さんが前にでる。そんなのやばいよ。真由美さんの手にはいつのまにか長い鞭が握られている。ヒュンって音をたてて一振りする。でも、そんなので日本刀に対抗できるの?
「ほぅ・・・鞭ですか・・・でも関心しませんね」
 牧島は構える。刀を地に這わすように。じりじりをすり足で動く。不気味な構え。
「いわば、双刃の剣。貴女を傷つけてしまう。貴女を傷つけるのはわたしの剣・・・」
 一瞬の隙をついて刀が真由美さんに襲いかかる。うしろに飛ぶ真由美さん。でも避け損ねたのか真由美さんのドレスの肩紐が外れる・・・・牧島に切られたのだ・・・。真由美さんの胸元が露出する。また刀の一閃・・・こんどはもう片方の肩・・・・真由美さんの黒いブラが露出する。
「フフ・・・楽しみです・・・・あなたがどこまで耐えてくれるか・・・」
 牧島は上段に構える。そして振り下ろす刀・・・・真由美さんのドレスをブラごと切り裂く・・・真由美さんの大きな胸が露出する。大きな瞳で牧島を睨む。完全に紙一重で切り裂いている。はらりと剥がれるドレス・・・。真由美さんは下とガーターベルト・・・ストッキングだけになってしまう。
「あと、1枚ですね・・・・」
 今度は下から刃が上に・・・見事に真由美さんの下着を剥がす・・・・無毛のあそこが晒される。
「綺麗な肌です・・・この肌が赤い血に染められるんですね。いつかの鮎子さんみたに・・・」
 真由美さんは牧島との距離をとる。
「鮎子さんは乳首を切り取るまで音を上げませんでした。しかし、最後にはわたしに懇願しましたよ・・・・殺してってね・・・・」
 楽しいことを思い出すような牧島・・・・裕美の怒り・・・いまにも牧島に飛び掛りそう。そんな裕美を聡子さんが制する。真由美さんは、。鞭を振る・・・でもそれは刃にはじき返される。逆に真由美さんを傷つける鞭。太股に赤い筋が走る。
「ほら、言ったとおり。」
 でも、真由美さんは落ち着いてる。身に着けたものはストッキングだけ・・・その芸術的な身体を隠そうともしない。
「ここで殺すのはもったいないですね。あとで切り刻んであげます。美しく生まれたのを後悔するんですね。その前にちょっと痛い思いをしてもらいましょう。なぁに、すぐに済みますよ。」
 牧島は刀を持ち替える・・・刃を逆に・・・峰打ち・・・。
「フフ・・・出来るかしら?」
 真由美さんはうっすらと笑って、攻撃に転じる。鞭を振り回し始める。長い鞭・・・牧島の間合いの外から・・・でも、牧島は余裕の表情でそれを避ける。歳に似合わない敏捷な動き。でも、最小限の動きでかわすからわたしたちにはスローモーションに映る。達人・・・そういった動きなんだろう・・・。
「それではわたしに当たりませんよ。」
「でも・・・わたしの獲物には当たってるんだけど・・・クス」
 牧島の後ろを見る。そこには鞭にドレスを裂かれ半裸になった継母が身体を隠すようにして身体を縮めている。それも、肌には1筋の傷もついていない。あの長い鞭で正確に衣服だけを切り裂いている。牧島もそれを振り返る。真由美さんの方を向いたときには険しい顔になっている。また刀を正しく持ちかえる。
「お互いお遊びはやめにしましょう。」
「そうね。」
 真由美さんが鞭を引くと、それは彼女の手に戻ってくる。真由美さんも真剣な表情になる。
 対峙する2人・・・・。しばらくの沈黙。2人ともどうでるか相手をうかがっている。いきなり牧島が動く。前に自分の間合いまで突進する。いえ、もっと深く・・・そう鞭は懐に入られると弱い。十分な攻撃ができない。うしろに下がるしかない。でも、真由美さんはうごかない。斬られちゃう・・・・。でも真由美さんはそのまま・・・・。真由美さんの手首がすこしうごいたような感じ。牧島は笑う。
 牧島が離れる。えっ、斬られなかったの。真由美さんは一歩も動いていない。牧島の信じられない顔・・・そう構えた刃が半分の長さになっていた。そして、その後ろの継母の股間ぎりぎりの床に折れた半分が突き刺さっていた。継母は大きく目を見開いてその刃を見る。そのまま失禁したのか、股間から液体が流れ出す。
「ちっ、なまくらが・・・」
 刀に怒りをぶつける男。
「うぅん、なかなか名刀ですよ。あなたにはもったいないくらい・・・」
 真由美さんの手が動いたかと思うと、今度は刀が男の手から弾き飛ばされる、また後ろの女ぎりぎりのところに飛ぶ。男はすばやく逃げようとする。その足を払う、倒れる男・・・その背中に鞭が飛ぶ・・・何度も何度も・・・その部分の男の衣服が裂け、血が滲む。何度も何度も鞭の雨が降り注ぐ。血まみれの背中・・・男が気を失うまで・・・そして、牧島は血の水溜りの中に力尽きて倒れこんだ。

 あとは衣服を真由美さんに剥がされ、身体を抱えるように縮こまっている継母だけ・・・。そのまま逃げようとする。でも、聡子さんがその方向に回りこむ。逆の方向に真由美さん・・・・正面に裕美・・・・。
「裕美ちゃん、ごめんなさい・・・・」
 裕美は彼女を見下ろすだけ・・・・。
「わたし・・・あなたが憎かったの・・・・あの人の愛情・・・それはあなたと・・・あなたの母親にしか注がれていなかった・・・・わたしも努力したんだよ・・・あなたのおかあさんになろうと・・・でも、あなたはわたしを認めてくれなかった・・・クスン・・・だからあの人たちに・・・・」
「どうする?裕美さん・・・・」
 真由美さんが裕美に語りかける。
「もういい・・・・」
 裕美はくるっとわたしの方を振り返る。そして、歩き出す。
「そうね・・・・」
 真由美さんと聡子さんもそのあとに続く。こちらに近づいてくる3人。裕美の顔が以前と違っているのがわかる・・・ひとつ大人になったみたいな感じ・・・。真由美さんが携帯で服を持ってくるように指示する・・・。わたしは自分の前に立ち止まった裕美をつつみこむようにギュッとだきしめた。
 
49
「じゃあ行こうか。」
 真由美さんが言う。いったいどこへ?
「仕方ないねっ・・・」
 吐き捨てるように言う聡子さん。
「佳奈子さんも出てきて。」
 わたしは部屋がら出る。裕美がこちらを見る。いままで見たことのないような弱弱しい裕美。自然に彼女の横に行って彼女を支える。なんか自然に涙があふれてくる。あとはどうなってもいい。裕美にどんな責めを受けても。
「殴りこみなんて久しぶりだねっ。」
 聡子さんが嬉しそうに言う。
「そうねっ。」
 真由美さんも微笑みを浮かべる。まさか。裕美はじっとわたしに肩を預けたまま。わたしと裕美は真由美さんと聡子さんに導かれるままに歩いた。

 車かた降りるとお城のようなお屋敷。重い鉄の格子の門。そして裕美がインターフォンを押す。
「わたし・・・」
 門が自動的に開かれる。その中にわたしたちは足を踏み入れる。握った裕美の手が汗ばんでるのがわかる。彼女の本能的な怯えが伝わる。わたしたちは導くように配置されたライトの中心を歩いていく。まるで映画の主人公になったような感じがする。そして、いまから悪者を退治するんだ。
 重そうな扉が開き、初老の男が姿を現す。どこから見ても完全な執事。
「牧島でございます。いつもお嬢様がお世話になっております。どうぞお入りください。」
 深くお辞儀をして、わたしたちを招き入れる。裕美の手が震える。そして、聡子さんが身構える。彼から目を離さない。そんなに殺気みたいなものがあるの?わたしにはわからない。
 中に入ると、テレビの豪邸特集とかでしか見たことのないような内装。ふかふかの絨毯に豪華な応接・・・それも広い空間の中央に・・・その真ん中の席に綺麗な女の人が座っている。部屋の調度品のようなワインレッドのドレス・・・そして立ち上がってわたしたちに会釈する。その後ろにはボーイ服を着た2人の男・・・おすもうさんみたいなデブともう一人は矮小な黒い肌の男・・・・。大人と子供みたいにみえる・・・かなり対照的な2人・・・不気味な感じがする。
「どうしたの?裕美ちゃん、こんな時間に。」
 甘い声で話しかける。やさしそうな人に思える。そして、ぞくっとするほど色っぽいオレンジ色の口紅がとろけるように光っている。
「里帰りってわけじゃないわな。」
 デブの男・・・かすれた声・・・・。
「普通は父親の居るときしか帰ってこないのに、どうしたの?」
「また、俺らに調教されたくなったんじゃないのかな。」
「フフ・・・ずいぶんいやらしいお嬢様だったからな。もう耐えられなくなったじゃないかな。」
 デブと背の低い男が裕美を見る。薄ら笑いを浮かべた顔。彼らの顔が悪魔の顔に思えてくる。
「それから、新しい奴隷も連れてきてくれたようですね。みなさんお美しい・・・その美しい顔が苦痛にゆがみ、断末魔の悲鳴をあげるのを聞きたいものです・・・いつかの鮎子さんみたいにね。」
 執事が丁寧に言う。口調はそうだが、内容は悪魔のもの。
「そうねっ。この子たちここに来たからには何をされても文句はいえないわ。フフフ・・・」
「不法侵入ってやつだね。」
 背の低い男・・・甲高い声・・・・
「あなたたちもねっ・・・警察なんて呼ぶ気ないんでしょ。」
 真由美さんも不敵に笑う。
「また調教しないとね。こんどは厳しいよ。裕美!」
 顔をゆがめる裕美の義母に怒りが湧き出る。なんか自分でもわかんない。彼女の前に進んで横顔を張ってしまう。パシン・・・・。弾ける音・・・・。彼女が頬を押さえる。それが合図になる。彼女の前に3人の男が出る。まるで彼女の盾みたいに。聡子さんがわたしを後ろに引っ張る・・・そして3人がわたしの盾になる。牧島の前に真由美さん・・・デブの前に聡子さん・・・背の低い男の前に裕美・・・・。そして、6人が構える。それぞれの構え。

 まず、裕美と背の低い男が接近する。
「また、虐めてやるぜ。」
 怖い顔で裕美を見る。そしてナイフを取り出して、刃を舌でなめる。蛇のような陰湿な目。
「返り討ちにあいたいの?」
「俺をおまえがやった2人と一緒にするなよ。俺の怖さはわかってるはずだぜ。」
 裕美は5人の男にやられたって言ってた。たぶん2人は裕美がやっつけたんだ。でも、その裕美がすこし震えている。たぶん彼の言葉はいちばんわかっているはず・・・精一杯背伸びしているんだ・・・
「大丈夫。裕美は強いよ。」
 聡子さんがデブと対峙しながら裕美に声をかける。矮小な男はナイフを操り出す。まるでジャグラーのように両手を行ったりきたりさせる。そして、裕美を突く・・・トリッキーな動き。でも、裕美はそれを避ける。避け損ねたのか・・・裕美の腕に一筋の傷・・・そこから血が垂れる。裕美は冷静・・・・彼の繰り出すナイフを紙一重で避けている。どこから飛び出すかわからない変幻自在のナイフ・・・・。わたしはごくりと唾を飲む。
「フフ・・・時間の問題だな。また擦り切れるほど犯してやるぜ。」
 裕美は黙って避けるだけ。やばい。反撃も出来ないんだ。それほどの早い動き。そして、裕美の真剣さに気づいたのか男に余裕が出てくる。裕美の処女を奪った話・・・それと裕美が彼らにどんなことをされたのか男の口から語られる。裕美の辛い過去・・・。わたしは心配そうに裕美を見る。でも裕美はだまって避け続ける。裕美の目は死んでいない。
「そろそろお遊びはしまいだな。」
 男の声が上擦る。なんか痺れを切らしたように。でもナイフのスピードはもっと速くなる。裕美はやっぱり避け続けるだけ。でも裕美の顔に笑みがもどったような気がする。
「ワンパターン!」
 裕美が叫ぶ。そして裕美の反撃。裕美の足が男のあごを捉える。倒れる男。でもすぐに体制を立て直す。まるで猫のよう。
「もう、見切ったよ。」
 吐き捨てるように言う裕美。男は戸惑ったように、ナイフをふりまわす。
「何つよがってんだよ。まぐれで当たっただけだろ。」
「えっ・・・違うよ・・・・」
 今度は手を蹴り上げる。ナイフが宙を舞う。裕美のいつもの人をくったような態度。おもいっきり男を見下す。
「さあ、どうしようかなっ。聡子さん・・・サンキュ・・・相手が疲れるまで耐える・・・だったよね。」
 聡子さんに向かってVサインをする。
「あら、もうわかったの?天才ねっ。」
 男はナイフを拾う。また、がむしゃらに振り回す。もう、さっきの余裕なんてない。
「ジ・・・エンド・・・・」
 裕美が親指を地面に突きつける。そして一発の蹴り。それはナイフを弾き飛ばすと同時に男を突き飛ばす。仰向けに倒れる男・・・そして遅れて心臓につきささるナイフ・・・・男の口から鮮血が噴出す。大きく見開かれた充血した目・・・・そして裕美のほうに這って来る・・・その男を冷たい笑みを浮かべながら・・・裕美の足が踏みつけた。
 
48
 わたしは隣の部屋に移される。そこからマジックミラーで真由美さんの部屋の中が見える。たぶんボディガードとかのための部屋・・・でも、守られるほうのわたしがこちらにいる。真由美さんの部屋には金髪ベリィショートの背の高い女の人・・・聡子さんという人だ。胸にエンブレムのついた黒ピタワンピを着ている。腰にはゴールドに光るベルト・・・大人っぽい色気を振りまいている。まるでモデルみたいなプロポーションと目鼻立ちにはっきりした顔・・・・長い脚・・・・日本人には思えない。真由美さんの座るソファーの肘掛に座って、談笑している。この人たち・・・裕美のモンスターぶりを知らないの・・・そう思ってしまうほど日常的だ・・・・。そして、突然扉が開く・・・両開きの扉はバタンと開かれて・・・裕美が立っている。
 怒りに歪んだ顔・・・でも、裕美の愛らしさはぜんぜん損なわれない。
「来てやったよっ!はやく佳奈子を出してよ!」
「フフ・・・早かったね・・・」
 あくまで裕美を挑発するように言う・・・
「佳奈子っ、ここにいるんでしょ。わかってるんだよ。」
 周りを見回す。
「フフ・・・・」
「いくら真由美さんでも、ただじゃおかないよ。」
「まあ、座ったら。」
 落ち着いて、向かいのソファーを指差す。
 裕美はそのソファーを蹴り上げる。まるで2人がけのソファーが発砲スチロール製のように跳ね上がる。そして、いきなりもとの材質にもどって、床に叩きつけられる。木の割れる音。
「あら、ごあいさつね。お気に入りのソファーなのに。」
 でも、眉を顰めるだけ。
「返せって、言ってんだよ!」
 裕美の声がだんだんしわがれて大きくなる。真由美さんの落ち着いた態度は裕美をよりいらだたせている。まるで、それを楽しむように・・・。
「それはできないわ。」
 いきなりはっきりと言う真由美さん。
「佳奈子はわたしの奴隷だよっ。」
「違うわ。あなたはここのルールをやぶったの。」
 幼い子を叱るようにゆっくりとした口調・・・
「でも、佳奈子はわたしが見つけたんだよっ・・・ずっと前に・・・」
「ここでは、理事の許可がないと私的な奴隷にすることはできない。これは大事なルールなの。」
「でも、でも、とにかく私の佳奈子を返して!」
 今度はテーブルを蹴り上げる。真由美さんに向かって飛ぶテーブル。それが、真由美さんに当たる瞬間にバリアに当たったかのように跳ね返る。裕美の方に向かうテーブル。裕美が脚で払い落とすと真っ二つに割れる。真由美さんの前にはいつのまにか聡子さんが立っている。
「仕方ないわね。」
「うるせえ。返せよ。」
 裕美の口調はだんだん乱暴になっていく。余裕がなくなっていく。聡子さんに飛び掛る裕美。あの不良を投げ飛ばしたように・・・。でも、聡子さんは微動だにしない。
「裕美は鮎子の弟子だったよねっ。でも、ぜんぜんだよ。」
 失望したように言って裕美の足を払う。すぐにしりもちをつく裕美。でも、立ち上がる。
こんどはファイティングポーズをとる。ボクサーのように。じりじりとフットワークを使いながら聡子さんに近づく。
 いきなり殴りかかる。でも、それはよけられる。くるっと身体を返しての蹴り、本当はパンチはフェイントでこっちが本命だったの。ソファーを蹴り上げるくらいの脚力、そのキックを受けたら・・・。
 聡子さんはその足を簡単に捕まえてねじる。また、倒れる裕美。ぜんぜん、相手になっていない。
「もう、やめなよ。」
「やだよ。」
 裕美は鳴き声になっている。
「もう、2回死んでるよ・・・鮎子は強かったけどね・・・弟子はまだまだみたい・・・」
「鮎子先生も卒業だって言ったもん。」
 もう、裕美に冷静さはない。手足を無茶苦茶に振り回す。それを簡単に受け流す聡子さん・・・唇の端に笑みさえ浮かべながら・・・反対に裕美の目には涙が滲んでいる。
「鮎子はね。もっと強かったよ。裕美は攻撃だけじゃん。」
「違う!」
 手足を振り回し続ける。裕美の息が切れるのがわかる。でも、聡子さんは静かなまま。
「鮎子は守りが強かったの。相手が疲れるまで耐える。そして反撃する。」
 いきなり聡子さんが裕美に蹴りを入れる。裕美の動きが止まってその場にうずくまる。
「うっ・・・・」
「でも、貴女を助けようとして彼らに捕まったの。そして、薬まで打たれて・・・・。」
「あぁ・・・・」
「それなのに貴女は・・・」
 裕美がおとなしくなっていく。目の前でバトルと一緒に吐き出される言葉。鮎子さんっていうのは裕美に武道を教えた先生・・・・そして、裕美のために継母のところに乗り込んで、ボロボロになるまで玩具にされて、殺された・・・そんなストーリが聞いているだけでわかるような気がする。自分の信じるものがすべて奪われていく裕美・・・。そして今の自暴自棄な裕美がある。
 体育すわりになって目に手をあてて泣き出す裕美。完全に裕美の敗北・・・・。そして裕美からモンスターが出て行くような感じがする。そして力が抜けたような裕美の目の前に真由美さんが立つ。
「もういいよ。聡子。」
 裕美に手を伸ばす真由美さん。裕美はその手を持って立ち上がる。裕美は何か憑き物が落ちたようなそんなさわやかな顔で微笑んだ。
 
47
「ねぇ・・・優華・・・・」
「うん・・・・・」
 優華がわたしにじゃれ付いてくる。本当に猫みたい。身体を擦り付けて鼻を鳴らす。
「あっ・・・違うの・・・」
 優華の身体を離す。悲しそうにわたしを見る。
「どうしたの?」
「うん、ちょっと話があるの。」
 真剣な目で優華を見る。今日は裕美が久しぶりに実家に帰った日・・・・。このときだけは私達はどちらも連れて行かれない。
「なに?話って?」
 膝の上からソファーに座る優華。真剣な顔でわたしを見る。まるで、子供のような澄んだ大きな瞳・・・この子の純粋さが好きだった。裕美にもわたしにも真剣に自分の好きをぶつけてくる。優華の肩に手を置いてわたしも優華を見つめる。
「優華・・・わたしたちこのままでいいの?」
「えっ・・・うん・・・裕美さまも佳奈子さんも好きだし・・・・」
「うん、わたしもよ。でも、このままじゃダメだと思う。」
 わたしは決心していた。そう・・・このまま奴隷として生きるのもいいと思っていたわたし・・・でも、ここにいる間にぽつりぽつりと裕美の凄絶な過去のことを聞き、このままじゃダメ・・・そう思ったのだ・・・・。
 わたしは裕美って何不自由もなく育ったお嬢様だと思っていた。確かに裕福な家庭に育った彼女・・・でも裕美がこんなになるのもわかる気がした。自暴自棄・・・それが裕美をあらわす言葉・・・・裕美の強さ・・・それはどうなってもいいって強さ・・・そう一瞬で崩れそうな弱さを内包している・・・・。
 彼女の過去は14歳の時に始まる。それまではやさしい父と母に愛されて育った彼女・・・でも優しかった母の死・・・・そして16の時に家に来た新しい母・・・彼女はその母になつけなかった。反発する裕美に邪悪な彼女の本性が引き出される。父親の前ではやさしい母を装う彼女・・・・しかし、あまりにも多忙な父は裕美と一緒にいられる時間が少なかった。継母は表面上だけ仲のいい母娘を装おうとした。彼女の昔の友達を集めて彼女を監禁した。1週間の父の出張・・・それは16歳の裕美を調教するには十分な時間だった。彼女は5人の男達の玩具にされた。そして、継母に忠誠を誓わされた。まるで白雪姫のような転落ストーリーだった。でも彼女のストーリーに七人の小人も王子さまも登場しない。孤独な裕美・・・父親のいない時は彼女の奴隷・・・父親のいるときは幸せな家族を演じる・・・・。でも、心の強い裕美は、継母の隙を狙った。いくらなんでも、彼女を学校にいかせないわけにはいかない。裕美は学校で牙を研いだ・・・今の生活から抜け出すために・・・。合気道の達人である女性教師・・・彼女に教えを乞いその技を吸収した。運動神経が人並みはずれていい裕美・・・1年で師匠を超えるようになる。それほどまでに裕美は追い詰められていた。でも、家では従順を装い、学校を卒業すると同時に家を出た・・・そのころには継母のとりまきも裕美を連れ戻すことはできなくなっていた。裕美が今のようなモンスターになった瞬間だった。これがわたしの聞いた悲しいストーリー。
 今の裕美・・・優華とわたしに愛されることでバランスを保っている心・・・そういうものがわかってきた。調教のあと・・・わたしたちに甘える裕美・・・それは少女というにはあまりにも幼すぎる。幼児のまま・・・すこしも成長をしていないような感じがした。
「でも・・・・・」
 泣き始める優華・・・たぶんわたしと同じこと思ってるんだ・・・優しい子・・・。優華を抱きしめる。
「うん、わたしが全部引き受けるから・・・優華は心配しなくていいの。」
「でも、どうすればいいの。」
「うん、ひとつだけ方法があるの。」
「えっ・・でも裕美さまが・・・」
「大丈夫・・・優華は何も知らなかったでいいの・・・全部わたしが勝手にしたこと・・・」
 安心させるために唇を重ねる。それを受け止める優華・・・・その髪の毛を撫でる。ショートのさらさらした毛・・・・。それから唇を離す。優華に微笑む。優華は名残惜しそうな顔・・・・。
 わたしは立ち上がると、置いていった裕美の携帯を手に取る。それは何台かある裕美の携帯のひとつ。わたしがあの場所で目にしたものだ。ボタンをおしてお目当ての番号を探す。それを探し当てると、わたしはボタンを押して耳に当てる。
「裕美さん?」
「あっ・・・美月です。」
「えっ?」
 電話の相手は一瞬驚いた声を上げたが、また落ち着いたこえに戻る。
「どうしたの?」

「そうだったんだ・・・おかしいと思ってたんだ。」
 ソファーの対面で微笑む女性・・・それは1度あっただけの真由美さん・・・・。そして彼女にいままでのことすべてを話した。
 優華は部屋に残してきた。縛って転がしてきたのだ。そうしないと裕美が壊れるような気がした。それに優華が責められないために・・・・。仕方なかった・・・そう偽装した。
 それから発信記録も残してきた。裕美の明晰な頭脳・・・たぶんわたしが何をしたのかわかってくれる。そして、裕美がわたしを取り戻しにくることも想像できた。
「あとは任せて・・・・ここではじまったことはわたしの責任・・・・」
「でも・・・裕美は・・・・」
「わかってるって・・・裕美さんのことは・・・・」
「ごめんなさい・・・・変なことに巻き込んで・・・」
「いいのよ・・・・大丈夫だから・・・たぶんあなたの期待に沿えると思うわ。」
 なんかすごい大きい人。わたしの直感は間違ってなかった・・・真由美さんならなんとかしてくれる。なんか涙が滲んでくる。
 いきなり真由美さんの携帯が重厚なクラシックのメロディを奏でる。オペラ?そんな感じの曲だ。
「フフさっそく来たわよ・・・・」
 髪の毛を掻き揚げて携帯を耳に当てる・・・
「はい・・・・・」
「裕美さん?どうしたの?」
 ここから聞いていても裕美の取り乱した声が聞こえる。たぶん相当の怒りを含んだ声だ。でも真由美さんは落ち着いて対応する。そして、携帯を切る。
「彼女・・・ここに来るって・・・・」
 真由美さんはわたしにウインクし、何事もなかったかのようにわたしに微笑んだ。
 
46
家に帰るとまた奴隷としての生活が始まる。でも、以前ほど苦にならない。あの日に檻から出された。大きなベットで3人で眠るようになった。最初、優華は何かにつけて抵抗した。わたしの奴隷としての未熟さを笑ったり、少しの失態を見つけて詰ったり、裕美を取られたくない一心でわたしを攻撃した。でも、根は悪い子じゃないみたいで、1週間くらいで私達は打ち解けた。裕美が私達を積極的に絡ませた・・・それから平等に扱った。優華は本来的にネコ・・・だんだんわたしにもじゃれつき始める。そしてわたしも優華をかわいく思うようになった。いまでは裕美の居ない時でも、2人でじゃれあうようになった。優華とわたしがそういう風になることを止めなかった・・・むしろ歓迎するようにも感じた。そう、本質的に裕美の愛情は優華とわたしでは重ならない・・・優華に対してはまるでペットをあつかうように・・・そして、わたしに対しては甘える対象として・・・でも2人とも支配するのは忘れない・・・それは私達を離さないという裕美の意志に思えた。それと、Mな私たちは虐められること辱められることで蕩けるような快感を得るのだ。それも裕美が私達を調教する理由だった。
 最近では、ベットの中央に寝るのはわたしになっていた。裕美の調教が終わると、3人でベットの上に座り思い思いの飲み物を飲みながら、いろいろなお話をする。まるで、3人姉妹みたいに、本当は姉妹よりももっとつながりは深いんだけど・・・・。だって、私達に秘密はない・・・恥ずかしい秘密の部分は全部知られている。私達はなんでも話すこと相談することが出来た。いつでも抱き合ったり、キスをしたり出来る。そして、3人とも全裸で眠る・・・・中央にわたし・・・その胸に甘えるように2人の妹たち・・・そのかわいい寝顔を見ながら、わたしも眠りにつく。そんな生活に幸福さえ覚えるようになっていた。

「ねぇ、昨日飲み会があったでしょ。」
「うんうん・・・・企画部の・・・・」
「で、どうだった・・・」
「青沼くん・・・・」
「うん・・・それそれ・・・・」
 トイレの中で全裸で放置されているわたし・・・裕美が戻ってくるまでじっとしてるしかない。その耳に聞こえてくる若い子たちの囀り。いやでも聞こえてしまう。青沼くんって企画部の新入社員・・・イケメンでいつも彼女たちの話題に上がる子・・・・。
「青沼くんの好きなタイプって知ってる?」
「えぇ・・・聞いたの?」
「うん・・・そうしたらねっ・・・・」
「うんうん・・・・」
「黒田主任だって・・・・」
「まじっ・・・・」
「うそっ・・・・」
「あんなおばさんがいいんだ・・・・ショックかも・・・」
「でも、黒田主任ってなんか最近へんじゃない・・・」
「あっ、言えるっ・・・なんか妙にエロい・・・・」
「そうそう・・・・なんか課長までドキドキしながら話しかけてるの・・・」
「スカートだってなんか短いし、フェロモンふりまくってるかも・・・」
「あっ・・・それから下着の線とかないじゃん・・・」
「かなりのエッチな下着とみた・・・」
「やだぁ・・・・想像しちゃったじゃん・・・」
 えっ・・・下着つけてないのばれてるの・・・顔が赤くなる・・・
「それから仕事もすごい・・・」
「うん、前みたいにイライラしてないし・・・・」
「うんうん、言える。」
「いいのよ。気をつけてねっ。」
「似てるぅ・・・・」
「なんか、黒田主任目当てで電話してくる人多いんだよ。指名で。」
「へぇ・・・」
 うん確かに・・・最近私宛の電話って多い。仕事も前より順調・・若い子もわたしを避けたりしないし言うこと聞いてくれる。前のわたしってなんかカリカリしすぎだったのかも・・・・。
「あっ・・・そろそろ時間・・・・」
「やばいっ・・・・」
 彼女たちが散り始める。そして、合図のノック。扉を開けるとと裕美が微笑みながら立っていた。
 
45
「佳奈子・・・身体洗いにいこうか・・・」
わたしの前にしゃがむ裕美・・・それを見上げる・・・。裕美は優しく微笑んでる。
「立てる?」
「はい・・・・」
 立ち上がろうとするわたし。裕美がそれを支える。そのままヨロヨロと歩く。わたしと裕美が歩くところに道が出来る。それぐらい人が集まっていた。
「あっ・・・・あっ・・・・」
 まだ中にはいってるような感覚。それがすごく恥ずかしい。
「どう、気持ちよかった?」
 裕美が意地悪く聞く。でも、わたしは左右に顔を振る。そう、確かに何度も感じた・・それから何度も絶頂を迎えた・・・それは彼らに与えられたものじゃない・・・裕美がわたしの心をあやつってるだけ、恐怖、屈辱、快感、痛み・・・人間としての感覚・感情を駆使してわたしを責めるからだ・・・・。それに否応なく体も心も委ねてしまう。
「そう・・・・」
 裕美がわたしを後ろから抱く。
「好きだよ・・・先輩・・・・」
 なぜか涙がこぼれてくる。わかんない。嬉しくて切なくて・・・・。わたしは裕美の体温を感じながらお風呂へ歩き続けた。

 土砂降りのシャワーの中で裕美と抱き合う。わたしより背が低い裕美・・・、胸でわたしの胸を持ち上げるように擦り付ける。わたしは、愛しそうに裕美の背中、腰に手を這わせる。
 お風呂に入ったわたし・・・とりあえず男の痕跡を消したかった。歯を磨いて、身体を多すぎるくらいのボディシャンプーで擦る。でも男の匂いはなかなか消えない感じがする。何度も身体をタオルで擦る・・・・身体が赤くなるくらいまで・・そしてシャワーをあそこにあてて中のものを洗い流す。おしりも洗い流す・・・浣腸をしたいくらい・・・汚れたわたしの身体・・・・。この前はここまで思わなかったけど、今日は裕美にこんなにきたないわたしを抱かれたくない。
 もういいよっていうように後ろに裕美が立つのが鏡に映る。振り返るわたし・・・全裸の裕美・・・・裕美が近づいてくる。そしてどちらからともなく抱き合う。シャワーの雨が2人に降り注ぐ。
「先輩・・・・あぁ・・・・」
「裕美さま・・・・・」
 わたしたちは唇を重ねる・・・・初めは小鳥みたいに何度も・・・重ねるだけのキスを繰り返す。男の人とするときみたいに2人とも目を閉じない。見つめあいながらのキス・・・・お互いを確認するように・・・お互いの気持ちを感じるように・・・・。
 それから、ディープに唇を重ねる・・・きつく抱き合って・・・・溶け込みそうなお互いの輪郭を確かめるように・・・・。身体をこすり付けあう。腰をくっつけあう・・・裕美の固い体を感じる。
「先輩・・・好き・・・・大好きだよ・・・・」
「わたしも・・・・あん・・・・・」
 私達は舌を絡めあう・・・・まるで貪るように・・・・・。歯がカチカチと重なる。わたしは身体をすべる裕美の身体をうっとりしたように感じ続けた。

 全裸でプールに飛び込む・・・・裕美も同じ・・・・裕美が貸切にした50メートルプール・・・・その中で戯れる2人・・・・・2人は人魚姫のように戯れる・・・・一緒に並んで泳ぐ・・・・わたしも水泳は得意なほう・・・そして裕美は万能選手・・・・まるで本当に水の中に住んでるみたい・・・・・。絡み合いながら泳ぐ・・・・。じゃれついたり離れたり・・・競争したり・・・・。何度も何度も往復する。まるで少女に戻ったように・・・・。そして疲れたら・・・プールサイドに上がって抱き合う・・・・まるで永遠の時間が2人に流れる。好きなように触れ合い・・・感じあう・・・・プールで冷めた体を暖めあう・・・・そして唇をなんども重ねる・・・・。言葉は発しない・・・それでもわかるような気がする・・・・姉妹・・・ううん・・・それ以上・・・・。裕美がプールサイドから水面に飛び込む・・・・わたしはすこし微笑んで同じように飛び込み裕美を追いかけた。

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