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闇縄悪夢

Author:闇縄悪夢
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 はじめまして、闇縄★悪夢です。  DTIブログでSM小説を書いていましたが、ブログサービスをやめるらしいので、お引越ししてきました。  ちょっとスランプ気味なんですが、がんばって更新しますので、よろしくお願いします。
 
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48
 わたしは隣の部屋に移される。そこからマジックミラーで真由美さんの部屋の中が見える。たぶんボディガードとかのための部屋・・・でも、守られるほうのわたしがこちらにいる。真由美さんの部屋には金髪ベリィショートの背の高い女の人・・・聡子さんという人だ。胸にエンブレムのついた黒ピタワンピを着ている。腰にはゴールドに光るベルト・・・大人っぽい色気を振りまいている。まるでモデルみたいなプロポーションと目鼻立ちにはっきりした顔・・・・長い脚・・・・日本人には思えない。真由美さんの座るソファーの肘掛に座って、談笑している。この人たち・・・裕美のモンスターぶりを知らないの・・・そう思ってしまうほど日常的だ・・・・。そして、突然扉が開く・・・両開きの扉はバタンと開かれて・・・裕美が立っている。
 怒りに歪んだ顔・・・でも、裕美の愛らしさはぜんぜん損なわれない。
「来てやったよっ!はやく佳奈子を出してよ!」
「フフ・・・早かったね・・・」
 あくまで裕美を挑発するように言う・・・
「佳奈子っ、ここにいるんでしょ。わかってるんだよ。」
 周りを見回す。
「フフ・・・・」
「いくら真由美さんでも、ただじゃおかないよ。」
「まあ、座ったら。」
 落ち着いて、向かいのソファーを指差す。
 裕美はそのソファーを蹴り上げる。まるで2人がけのソファーが発砲スチロール製のように跳ね上がる。そして、いきなりもとの材質にもどって、床に叩きつけられる。木の割れる音。
「あら、ごあいさつね。お気に入りのソファーなのに。」
 でも、眉を顰めるだけ。
「返せって、言ってんだよ!」
 裕美の声がだんだんしわがれて大きくなる。真由美さんの落ち着いた態度は裕美をよりいらだたせている。まるで、それを楽しむように・・・。
「それはできないわ。」
 いきなりはっきりと言う真由美さん。
「佳奈子はわたしの奴隷だよっ。」
「違うわ。あなたはここのルールをやぶったの。」
 幼い子を叱るようにゆっくりとした口調・・・
「でも、佳奈子はわたしが見つけたんだよっ・・・ずっと前に・・・」
「ここでは、理事の許可がないと私的な奴隷にすることはできない。これは大事なルールなの。」
「でも、でも、とにかく私の佳奈子を返して!」
 今度はテーブルを蹴り上げる。真由美さんに向かって飛ぶテーブル。それが、真由美さんに当たる瞬間にバリアに当たったかのように跳ね返る。裕美の方に向かうテーブル。裕美が脚で払い落とすと真っ二つに割れる。真由美さんの前にはいつのまにか聡子さんが立っている。
「仕方ないわね。」
「うるせえ。返せよ。」
 裕美の口調はだんだん乱暴になっていく。余裕がなくなっていく。聡子さんに飛び掛る裕美。あの不良を投げ飛ばしたように・・・。でも、聡子さんは微動だにしない。
「裕美は鮎子の弟子だったよねっ。でも、ぜんぜんだよ。」
 失望したように言って裕美の足を払う。すぐにしりもちをつく裕美。でも、立ち上がる。
こんどはファイティングポーズをとる。ボクサーのように。じりじりとフットワークを使いながら聡子さんに近づく。
 いきなり殴りかかる。でも、それはよけられる。くるっと身体を返しての蹴り、本当はパンチはフェイントでこっちが本命だったの。ソファーを蹴り上げるくらいの脚力、そのキックを受けたら・・・。
 聡子さんはその足を簡単に捕まえてねじる。また、倒れる裕美。ぜんぜん、相手になっていない。
「もう、やめなよ。」
「やだよ。」
 裕美は鳴き声になっている。
「もう、2回死んでるよ・・・鮎子は強かったけどね・・・弟子はまだまだみたい・・・」
「鮎子先生も卒業だって言ったもん。」
 もう、裕美に冷静さはない。手足を無茶苦茶に振り回す。それを簡単に受け流す聡子さん・・・唇の端に笑みさえ浮かべながら・・・反対に裕美の目には涙が滲んでいる。
「鮎子はね。もっと強かったよ。裕美は攻撃だけじゃん。」
「違う!」
 手足を振り回し続ける。裕美の息が切れるのがわかる。でも、聡子さんは静かなまま。
「鮎子は守りが強かったの。相手が疲れるまで耐える。そして反撃する。」
 いきなり聡子さんが裕美に蹴りを入れる。裕美の動きが止まってその場にうずくまる。
「うっ・・・・」
「でも、貴女を助けようとして彼らに捕まったの。そして、薬まで打たれて・・・・。」
「あぁ・・・・」
「それなのに貴女は・・・」
 裕美がおとなしくなっていく。目の前でバトルと一緒に吐き出される言葉。鮎子さんっていうのは裕美に武道を教えた先生・・・・そして、裕美のために継母のところに乗り込んで、ボロボロになるまで玩具にされて、殺された・・・そんなストーリが聞いているだけでわかるような気がする。自分の信じるものがすべて奪われていく裕美・・・。そして今の自暴自棄な裕美がある。
 体育すわりになって目に手をあてて泣き出す裕美。完全に裕美の敗北・・・・。そして裕美からモンスターが出て行くような感じがする。そして力が抜けたような裕美の目の前に真由美さんが立つ。
「もういいよ。聡子。」
 裕美に手を伸ばす真由美さん。裕美はその手を持って立ち上がる。裕美は何か憑き物が落ちたようなそんなさわやかな顔で微笑んだ。

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