「こんばんは。真由美さん。」
「あっ、大和くん・・・」
今度は若い声。もしかして、聖さん?でも、大和くんって???わたしは声の方を見る。聖さんのイメージとは違う、爽やかな感じの人が白い歯を見せて微笑んでいた。
「こちら大和くん・・・聖くんの大学の友達だって。たしか、IT企業を経営してるの。」
「大和です・・・よろしく」
手を差し出す大和さん。今までは、40台くらいの人ばっかだったけど、大和さんは2、3歳上だけって感じ。真由美さんの世界の住人らしくない爽やかさ。メンズ雑誌のモデルのように、カジュアルなジャケットをうまく着こなしている。それにめっちゃタイプ。わたしは、スツールから降りて立ち上がる。
「あの・・・美佳です・・・よろしくおねがいします・・・」
大和さんに手を出すと、きつい力で握り締められる。男の人の大きな手、それから力強さ・・・そういうものを感じて・・・胸がドキドキする。それから、立ち上がることでモロに伸長差を感じてしまう。わたしが、155cmだから・・・180くらいかな。大和くんと2人で歩いている自分を想像する。絶対みんなの羨望の的・・・。でも、そんなことを悟られないように、大和さんに微笑む。ばれてないかなっ。
「聖が無理やりさそうから・・・でも・・ラッキーかなっ・・・真由美さんここいいですか?」
いままでの男の人と違って、若い分遠慮がない。
「美佳さんはどう?」
問題あるわけないじゃん。でも、遠慮がちを装う。
「真由美さんがいいなら・・・・」
チラッと真由美さんを見る。真由美さんは微笑んで、大和さんに見えないようにVサインをする。全部ばれてるじゃん。
「じゃあ、大和くん・・・お姫様のエスコートをたのむわ・・・」
「ええ・・・」
照れたようにわたしに向かって微笑む。わたしもスカートを気にしながら大和さんの隣にすわる。
そしてチラチラと彼の横顔を盗み見る。やっぱ、横から見てもかっこいい。でも、もしかして真由美さんとあんなことしてるの?すこし嫉妬みたいな感じ。
「大和くんは2回めだよね。」
なかなか話を切り出せない私に気遣ってか、真由美さんが話しかける。
「えぇ・・・この間は・・・」
えっ、やっぱ・・・したの?
「プレイせずに帰ったわね・・・」
「はい・・・あんまり気分乗らなくて・・・」
なんか胸をなでおろすわたし・・・。でも会話に入れない。
「正直ね・・・でも、聖くんからかなりのサディストだって聞いたけど・・・」
「あっ・・・聖がそんなことを・・・」
「もう、卒業したの?」
「そうじゃないけど・・・なんか愛みたいなものがないと・・っておかしいですよね・・・」
ちらっとわたしを見る。あわてて目を逸らしてしまう。
「そうなんだ・・・いい相手にめぐり合えるといいね。」
真由美さんはやさしく微笑みかける。でも・・・かなりのサディスト・・・いろいろ想像してしまう。
「美佳さんは・・・男の人に調教されたいんだったね・・・」
「えっ・・・・」
真由美さんがいきなり私に話を振る。やだっ・・・そんな・・・・。
「あっ・・・でも・・・ただの妄想です・・・わたし・・・そんなこと・・・」
「そうなんだ・・・」
大和さんが興味深くわたしの顔を覗き込む。すいこまれそうな茶色い瞳。
「わたし・・・でも・・・無理です・・・」
「無理だから調教するんだよ・・・なんてねっ・・・」
大和さんが大きく笑う。わたしもそれにつられるように初めて緊張の解けた普段着の微笑みを送った。
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