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「これで、五分ですね。次に勝ったほうが・・・」
「わかってるよ!」
彼の言葉を制する。もう、わたしに余裕はない。これで負けたら奴隷。もう泣きかけている。奴隷になる自分しか想像できない。彼の言ったプレッシャーがわたしを襲う。さっきの彼の言葉・・それは全部わたしを動揺させる罠だったことに気づく。でも、負けたらっていうイメージは消せない。なんか身体が痺れて重くなったような気がする。
「じゃあ次ですね。」
中山さんが机の上に札束を重ねる。
また同じようにキャラを選ぶ・・・・
今度は先制する・・・そう決める・・・
始まるゲーム・・・・
でも、思ったように手が動かない・・・
手のひらが湿っている・・・
そしてコントローラーが滑る・・・
わたしの先制攻撃は避けられジークの伸びるパンチがマリアに決まる・・・
後ろに吹き飛ぶマリア・・・・
もう、こうなったら彼の思うまま・・・
じわじわと小さな攻撃を決めてくる・・・
だんだんゲージが青から黄色に変わる・・・
涙が滲んでくる・・・
もう逆転は無理・・・・
下唇を噛んで彼を見る・・・・
真剣にモニターを睨む彼・・・・
もう、無理・・・・でもスペシャルのコマンドを押す・・・
青くなって回転するマリア・・・・
でも、簡単にかわされる・・・・
そのまま、むちゃくちゃに蹴りを繰り出すマリア・・・・
パニックにおちいったわたしのように・・・・
それを落ち着いてかわすジーク・・・・
ときどき伸びるパンチで小刻みに体力を奪う・・・
涙でモニターがかすむ・・・
そのソフトフォーカスの中でマリアがスローモーションで後ろに反るように倒れた。
ジークの高笑いの上にまたWINNERの文字が重なった。
「決まりだな。」
中山さんがわたしの方を見る。
「うん・・・・・」
魂が抜けたようにうなづくわたし。
「あの・・・・」
「なんだ?」
「わたし・・・男の人初めてなの・・・・」
「それで?」
「うん・・・なんでもない・・・」
涙に潤んだ目で彼を見る。うん、もうどうでもよかった。べつに処女にこだわってるわけじゃないし、わたしを負かした彼に抱かれるのも悪くない。でも、涙があふれる。
「いいよ・・・何をしても、約束だから・・・・」
わたしは中山さんの前にひざまづく。
「そう・・・奈帆は奴隷だからな・・・」
「うん・・・・」
この人に抱かれる。そう思うとドキドキする。男の人に抱かれるなんて考えたことなかった。こんな感じなんだ・・・・。
「じゃあ、奈帆は何ができるのかな。」
「えっ・・・」
「俺を楽しませるために・・・・」
「いいよ・・・わたしを抱いても・・・・」
「フフ・・・まだわかってないな・・・・奈帆は奴隷なんだ・・・・」
彼の大きな手がわたしの頬を張る。パシッ・・・そして頬を押さえる。
「口のききかたに気をつけるんだな。」
「はい・・・・」
「じゃあ、とりあえずストリップでもしてもらおうかな。」
「えっ・・・・ここで・・・・」
「そうだ。」
わたしはその場に立ち上がる。ヒラヒラのカチューシャをはずす・・・前髪がはらりと垂れる。それから、エプロン・・・・。ワンピになったメイド服を脱ぐ・・・・。スカートを捲くっておなかをみせて頭から抜く。わりとチープなメイド服・・・。見せ下着とソックスと靴だけになる。彼はすわったままわたしをじっと見ている。
そのまま固まってしまうわたし・・・覚悟は決めてる・・・でも、恥ずかしい。
「全部だ・・・」
「はい・・・・」
そのまま、下着を脱ぐ・・・胸から・・・。手で隠しながらはずしていく。抜き取ると下に落とす・・・・。胸をおさえたまま、片手で下も下ろしていく。太股をすべらせて脚から抜き取り・・・あわててあそこを隠す。
「あっ・・・・はずかしい・・・」
「手をどけろ・・・」
「あっ・・・あの・・・別のお部屋で・・・・なにをしてもいいから・・・・」
このクラブには、別室があった。わたしは使ったことないけど、中にはウリをしてる子もいるって聞いたことある。
「だめだ。」
甘えは許されない。わたしに選択権はない。このまま、奴隷として・・・・。初めての経験・・・・別に甘い幻想なんてしていなかった。でも、こんな形で・・・わたしらしいや・・・涙と笑いが同時に出てくる。わたしは、手をはなして気をつけの姿勢になる。脚は閉じているけど、全裸の身体を中山さんに晒す。それだけでなく、まわりの男もこちらを見ている。その視線を受けながら、目をきつく閉じて細い身体を震わせることしか出来なかった。
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