5
彼が机の上に札束になったお札を置く。100万円・・・・。
「参加料だ・・・」
「えっ・・・・」
簡単にいつもの千円を払うように・・・。
「奈帆さんを奴隷にできるんなら、安いものだ。」
「うん・・・・・」
ゲームが始まる。わたしは攻撃を繰り出す。いつもみたいに手加減は無し。相手に攻撃する隙を与えない。これがマリアの使い方だ。超速のキャラ・・・・。相手は防戦一方になる。
「ハハ・・・強いな。」
「いつもは手加減してんだよ。」
「そう・・・・」
ジークのライフゲージはすぐに半分になる。わたしはまだ満タンだ。ジークが点滅する。それから、マントを開く・・・中から飛び出る火の玉。それが、マリアを直撃する。ダウンするマリア・・・・。そう、スペシャル技だ。ダメージを受けるとゲージがたまって発動する。点滅するマリア・・・。わたしは体勢を整えようと、カチャカチャとボタンを押し続ける。ライフは半分になっている。でも、まだ同点。マリアもスペシャルが使える状況になる。でも、がまんして通常の攻撃をする。そうとどめの一撃に使う。
「ほら、また攻撃が当たったよ。もう、後がない。」
中山さんの動きがスムーズになる。でも、ひきつける。あと一撃で倒せる。
「うん・・・やばいね・・・」
相手が攻撃をやめないようにやばそうなふりをする。あと一歩。きた。いきなりスペシャルのコマンドを押す。マリアが縦に回転する。そして、回転した周りに青い光が集まる。プラズマスパーク・・・・。青い光の玉がジークを襲う。一発でダウン。ライフが0になる。そしてガッツポーズのマリアの上にWINNERの文字が重なった。
「まず1勝・・・」
なんかいつもの百倍疲れる。
「強いですね。それに・・・」
「それに?」
「度胸も満点だ。」
「えっ・・・」
「いえ、普通は手が縮まるものですよ・・・」
「何?」
「あなたの身体が懸かっているんですよ。もし負けたら彼女のようになる・・・」
理沙の方を見る中山さん・・・
それにつられてしまう・・・・
理沙みたいに・・・・想像してしまう・・・
あんなふうにされたら・・・・
背筋が寒くなる・・・
たぶんもっとひどいことに・・・・
わたしはいままで男の人を知らなかった・・・
処女・・・・・
別に守ってきたわけじゃない・・・
でも、機会がなかったっていうか・・・
男の人に興味がなかった・・・・
なんか男って子供っぽくて、女同士で遊んでいるほうがよっぽど楽しかった・・・
「それから、現金・・・これを見たらあらぬ欲が出てくる・・・彼女みたいにね。」
理沙は設定を売ったって言ってた・・・
そう、元の設定でもぎりぎり・・・
設定を下げたら勝てるわけない・・・・
「もし、レートを10倍にしたら奈帆さんも売ってくれますか?1000万ですよ。」
「やだよっ・・・・」
「やはり聡明だ・・・あなたは・・・じゃあ次のゲームですね。」
中山さんが机にまた100万円を積み上げる・・・
それに目を取られてしまう・・・
やだって言ったけど、頭の中で1000万という金額を想像してしまう・・・・
服を買ってもバックを買ってもなくならない・・・
正直、使い方もわかんない金額だった・・・
目の前の200万円でもそう・・・・
ぼーっとしている間にキャラを選ぶシーン・・・
はっとしてマリアを選ぶ・・・
中山さんもさっきと同じ・・・・
そしてゲームが始まる・・・・
いきなり、襲ってくる攻撃・・・
よけきれない・・・・
ダウンするマリア・・・・
「さっきと動きが違いますね・・・」
「あぁ・・・ゴチャゴチャ言うからだよ。」
わたしが先制攻撃のはずだったのに・・・
作戦が狂ってわけがわかんなくなる・・・
とりあえず逃げて体勢を整える・・・
そこに攻撃・・・・それも腕が伸びる・・・
ぜんぜん予期しない攻撃をくらってしまう・・・
やばい・・・・ジャンプしなきゃ・・・
そのジャンプを受け止められる・・・
叩きつけられるマリア・・・・
ゲージはもう半分になる・・・・
もう、わたしに冷静さはない・・・
無茶苦茶にかかっていく・・
でも、すべてマントでガードされる・・・
「どうしたんですか?さっきのキレがない。」
「うるさい!」
スペシャル技にすべてをかける・・・
マリアが青く回転する光になる・・・
そのまま・・・アタック・・・
でも、ひきつけてない攻撃はかわされる・・・
スペシャル技がおわってしまう・・・
彼にダメージを与えられないまま・・・
そして、正確な攻撃が浴びせられる・・・
だんだん減っていくライフゲージ・・・
そして、それが0になり・・・
マリアがその場にダウンする・・・
高笑いするジークの姿にWINNERの文字が重なった・・・
コメント
コメントの投稿
トラックバック
■この記事のトラックバックURL
⇒ http://anjyou.blog.2nt.com/tb.php/195-69c1a706
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
■この記事へのトラックバック
| BLOG TOP |