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闇縄悪夢

Author:闇縄悪夢
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 はじめまして、闇縄★悪夢です。  DTIブログでSM小説を書いていましたが、ブログサービスをやめるらしいので、お引越ししてきました。  ちょっとスランプ気味なんですが、がんばって更新しますので、よろしくお願いします。
 
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「有里いくよっ!!」
 5:00になると、先輩が私に声をかける。私は顔をあげて微笑む。
「うん!!」
 昨日の夢が心に引っかかっていた。でも、先輩にそんなこといえるわけないし、先輩を見るとそんな不安もふっとんでしまう。わたしは先輩について更衣室で着替える。先輩は化粧だけを直している。事務員扱いの私は制服からスーツに着替える。タイトスカートの紺のスーツ。たしかリクルートの時に使ってたものだった。私も化粧を直すと、先輩にOKサインを出す。
「じゃあ、行こうか。」
 先輩に並ぶようにして、会社をでる。
「あ・・有里。ちゃんとあやまるんだよ。」
「はい・・・」
 緊張した面持ちの私。でも、先輩がいるから大丈夫だ。それにその後の飲み会も楽しみだった。先輩と2人きりって初めてだった。
「そんなに緊張しなくてもいいよ。すごくやさしい人だから。」
「はい・・・・」
「それにアシスタントの有里とお客さまと面識があったらやりやすいでしょ。そういう狙いもあるの。」
「先輩・・・・」
「有里には期待してるんだからね。」
 嬉しくて涙がでそうなくらい。私のこと考えてくれてるんだ。でも、緊張しないでなんて無理だよ。絶対噛んじゃうよ。私は”このたびはもうしわけございませんでした”と言う言葉を心の中で何度も練習する。
「有里笑って!!」
 先輩が私の顔を覗き込む。それも先輩特有の明るい笑顔。私もつられてスペシャルスマイルになってしまう。
「うん・・・そうそう・・その感じ・・・」
「クスッ」
「有里ってかわいいんだから、それだけで男の人許しちゃうよ。」
「うん!!」
「じゃあ・・・急ぐよ」
 先輩は私の手をつかんで、すこし足早に歩き出した。先輩の手のあったかさが少しくすぐったく感じた。

 案内された応接室の扉を開けると、大きな男の人。昨日の夢と重なるような感じ。40歳半ばって感じで、180cmくらい、体重はわからないがかなり貫禄がある感じだった。
「この度はもうしわけありませんでした。」
 私は先輩と一緒に頭を下げた。できるだけ神妙な顔を作って、そして頭を下げたまま10数える。
「もう・・・頭あげてください。こんな美人2人に謝られたら許さないわけにいかないよ。」
 困ったような前田さまの声。頭をあげると、先輩はまだ頭を上げていない。しまった、ミスった。
「それに川嶋さんから、説明あったけど、僕もあの壁紙のほうがマッチングしてるとおもうよ。でも、変えるのなら、前もって連絡してほしかったな。」
「申し訳ありませんでした。」
 先輩の澄んだ声。
「まあ・・・いいからそこにかけてよ。」
「はい・・・失礼します。」
 先輩は私を促して、応接椅子に腰掛ける。すごくクッションのいい椅子。これも先輩がコーディネイトしたものだった。
「ところで、アシスタントの・・・」
「伊本です。」
「うん・・・伊本さん。かわいい人だね。」
 いきなりのセクハラ発言。でも、あんまり気にならない。そういうところに前田さんの人柄がいいのが感じられた。もうさっきの怖そうなイメージはふっとんでいた。
「川嶋さん。担当を伊本さんにかえてくれない?」
「前田さん!!怒りますよ。」
 先輩が前田様を少し微笑みまじりに睨み付ける。
「怖いなぁ・・・じ・・冗談だよ。」
 私達3人は声を出して笑いあった。
「それで、次の商談なんだけど、この前の事務所も評判よくってね。今度も川嶋さんに頼もうとおもうんだが。」
「よろしくお願いします。それで、どんな物件ですか。」
 その時、紅茶が運ばれてくる。そして、私達の前に置かれる。とても上品なカップ。それにいい香り。
「じゃあ・・・お茶でも飲みながら話そうか。」
 私は先輩が口をつけるのを待ってから、カップを持ち上げる。そして、口をつけてカップを傾けた。おいしい。銘柄とかわからないけど、すごく上品な味。
「これなんだが。」
「ブティックですね。」
 先輩の目が真剣になる。そして、身を乗り出すようにして図面に見入る。
「そうだ。」
「パリのブティック用のディスプレイなら用意できます。」
 先輩と前田様の商談は続く。私も話を聞いていたけど、なんだか身体がだるくなっきた。どうして、おかしいよ。すごく眠い。がんばれ有里!!寝ちゃだめ!!自分に声をかけてみる。でもだんだん先輩と前田様の声が遠くなっていくのを感じた。

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