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闇縄悪夢

Author:闇縄悪夢
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 はじめまして、闇縄★悪夢です。  DTIブログでSM小説を書いていましたが、ブログサービスをやめるらしいので、お引越ししてきました。  ちょっとスランプ気味なんですが、がんばって更新しますので、よろしくお願いします。
 
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32
 ボックスの支払いはわたしがさせられた。マイクや点数器の弁償代・・・それは顔色も変えず裕美が支払った。ウンチや愛液のついたマイク・・・汚いものをみるような店のおばさんの目・・・・。もう、居場所がないような羞恥だった。そして外にでる。
「どこにする?」
「SMホテルもいいけど、この女を完全に奴隷にしなくちゃな。」
「あそこはどうだ!」
「あぁ・・・いつものとこか。」
「ホテルもいいけど、今は、やってない病院があるんだ。そこなら誰もこないし。どんなに叫んでも大丈夫。このマゾを生まれてきたのを後悔するくらい虐めてやれるぜ!」
「うん・・・・」
「じゃあ・・・ダチよぶわ・・・車で来てくれるから・・・」
 瞬が携帯をとりだす。
「やっぱ、帰るよ・・・」
「えっ・・・」
 裕美の言葉に男達は静止する。
「どうして・・・まだこのマゾで遊ぼうよ・・・」
 まだ、甘い声で恭二が裕美にささやく。
「やっぱ醒めちゃった・・・行こう佳奈子・・・・バイバイ・・・」
「このアマ!下手にでたらつけあがりやがって!さっきから気に食わなかったんだ!いいだろ!恭二!」
 瞬が大きな声を上げる。
「ああ・・・最初からその予定だからな。」
 男達が羊の皮を脱ぎ捨てる。裕美の前に近寄る瞬・・・そしてそのじゃまをしないように私の前に恭二が立ちふさがる。まわりは物寂しい倉庫の裏みたいなところ・・・。
「逃げよう、裕美。」
 でも、裕美は瞬の前に立ったまま。いきなり瞬が裕美をつかもうとする。
「あぁ・・・・」
 でも、予想とちがって瞬の身体が宙を飛ぶ。何がおこったのかわからない。恭二も驚いた顔でそっちを振り返る。瞬は立ち上がりまた裕美にとびかかる。その瞬間がストップモーションみたいに目にうつる。裕美は瞬の手をとり中に入り込む・・・そのまま肘を顔面にいれて、瞬を投げる・・・頭から地面に落ちる瞬・・・そして肘が入った鼻から鼻血が噴出す。瞬は痛みに顔を押さえて地面をころがりまわる。
 恭二がポケットから何かを取り出す。ナイフ・・・それをわたしに向け・・・すぐに後ろに回ってわたしの喉に刃を突きつける。でも手が震えている・・・・裕美に得体の知れない恐怖を感じているのだ・・・それはわたしも同じ・・・。蒼く月に照らされた裕美の顔・・・その人形のように整った顔がよけいに凄みを感じさせる・・・。
「殺すぞ・・・こいつを・・・」
 震える声・・・裕美は微笑みを浮かべてこちらに顔を向ける。
「出来るわけないじゃん。クスッ」
「本当にやるぞ!」
 震える切先がわたしの喉に当たる・・・・。
「あぶねえな。おもちゃなんか振り回しやがって。」
 すぐ後ろから低い声が聞こえる。人の気配なんかしなかった。恭二がわたしを抱えたまま振り返る。そこには2人の男と1人の女・・・いえ・・・その女の人に違和感を感じる。そう、背が高く・・・白塗りの化粧・・・明らかに女装した男の人。それにサラリーマン風の中年男性・・・・色の黒い老人・・・まるで呪術師のような・・・・。見ているだけで、背筋が寒くなるようなオーラを放っている。
「くすっ・・・危ないわね。」
 女装の男が人差し指と中指で恭二のナイフを取り上げる。
「それで、売り物はこいつらか。」
 老人が地獄の底から出てくるような声でいう。
「うん、高く買ってね。ダチがさ、こいつらに拉致られちゃって酷いことになってるの。」
「あぁ・・・・・」
 恐怖に凍りつく恭二・・・・。サラリーマン風の男は瞬の品定めをしている。
「美奈子って知ってるでしょ・・・あの子、高校のときのツレなの。さっき話してた元カノだよね。」
 腕をくんで恭二を睨む。
「こっちは300ってとこだな。」
 サラリーマンが言う。
「ガタイがいいからな。蟹の密漁船でもやってもらおう。1回の漁で半分は帰ってこないがな・・・。危険だが金になる。こっちは使えそうもないがな。」
 恭二を見る・・・眼鏡越しの鋭い目・・・わたしまでゾッとする。
「あら、わたしが引き取るわ・・・手術させてニューハーフにするの。M専門のねっ。手術代がかかるから100ってとこでどう?」
「うん、いいよ・・・じゃあここに振り込んどいて・・・美奈子の口座・・・」
 裕美は老人にメモをわたす。サラリーマンと女装の目が私を見る。
「こっちは売らないのか。3000出すぜ。」
 3000万ってこと?こんなふうに人間が売買されるの?恐怖で脚がガクガクする。
「だめっ・・・これはわたしの奴隷・・・・そうでしょ・・・佳奈子・・・」
 裕美がわたしに抱きつく。
「残念だな。じゃあ、また売り物があったら電話してくれ。」
「うん・・・・」
 彼らは瞬と恭二をつれて、立ち去っていく。わたしは地獄に連れ去られる二人の後ろ姿をじっと見つめていた。胸に顔をうずめる裕美を抱くようにしたまま・・・。そして、いままでのことが夢だったかのように彼らの存在が消える。
「じゃあ、帰ろうか。」
 裕美の元気な声。我に帰る。そして裕美に付き従うように、駅への道を歩き始めた。

 駅までの道・・・わたしたちは無言で歩く・・・寂しい感じからだんだん夜の街らしくなってくる。お店の明かり・・・人の雑踏・・・。駅が見える。確か裕美とは違う路線だったと思う。
「タクシーで帰るね・・・」
 裕美が口を開く。
「うん、じゃあわたしはこっちだから・・・」
「何言ってるの?」
「えっ・・・」
「佳奈子はわたしの奴隷・・・わたしと一緒に帰るの。」
「えっ?」
「だから、佳奈子はわたしが飼うんだよ。」
「あぁ・・・・」
 裕美を見る。裕美の真剣な顔・・・・。もう、さっきのことで裕美に逆らう気なんて起きない。わたしは、黙って裕美の止めたタクシーに乗り込む。裕美が行き先を告げると、タクシーは夜の街を滑るように走り出した。

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